episode15
「元気か?お嬢ちゃんよ。」
「ええ。四年も経てば、リュウさんも子供達の相手に手慣れるのね。」
「おう。楽しいよ」
今、孤児院の子供たちはリュウさんと先生が面倒を見てくれていて、私も手伝える時に手伝っているという感じだ。
「中華料理好きのアンリ国王は元気してるか?」
「元気よ。即位してからは忙しそうに仕事をしてて。少し老けたかもしれないわ」
アンリは民意のもと政治を行う事を誓い、国王として即位し、今では国をまとめる国王となっていた。
「そうかー。若いのによくやるもんだあいつ」
「今度会いに来てくださいよ。子供たちを私の家に招待して。ね?」
「そうだなー。そういや、お嬢ちゃん、あの家にまだ1人暮らしか?フィアンセなんかいねーのか?」
「それは、、。まだ、ですけど!早急に探します!!」
「はは。ジェラルドせいか?気にすることなんてないが、若くて可愛らしいうちが華だと思うぜ。」
「余計なお節介よ!リュウさん?」
「ごめんごめん」
お茶目で優しいリュウさんと話しているのはいつも楽しい。1人でくらしている私とっていい刺激だ。
「今日は夕飯食ってかえるか?」
「ええ。お言葉に甘えて」
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「さぁ、どーぞ!」
「ありがとうございます。いただきます」
あの日から4年と半年が経とうとしていて、
散り散りになったファミリーの行方は分からない。私はジェラルドがもしかしたら生きているからもしれないという勝手な憶測だけを希望にリュウさんと話しているのかもしれない。
「今日は上海蟹だ!!」
「美味しそうですね。」
「ああ、いいのを仕入れたからな!」
「そういえば最近、上の階に誰か引っ越してきました?」
「ああ。狭い部屋なんだがな、」
「そうなんですね。____「あ。ちょうど降りてきたぞ」
私達の前をうつむきながら通り過ぎようとする
「おまえさ、そろそろ会えよ。」
「会う気なんてないさ。」
記憶の奥底で眠っていた声が私を呼び起こした
「リュウさん、かして!ハサミ!!」
___「え?」
バサっ
「お…おまえ。」
「ジェ…ジェラルド…。」
私は咄嗟にリュウさんの手元にあったハサミを手にとって男の髪を切ってしまっていた。
「バカ…!!死んだと思ってた…」
「うるせーよ。ワンワン泣くな、」
そう言って彼は私の頭を撫でた。
「ごめんな。
最後まで悪者でいたかったんだよ」
「もう、!本当に…!!謝りたい事も感謝したい事も沢山あったのに!死なれたから困ってたのよ!!!」
「ははは。ごめんって。
ありがとうな。いろいろ。ずっと見てたんだよ。上のベランダから。」
「さっさと出てきて孤児院手伝いなさいよね」
「ああ…わかったよ。」
「ジェラルド…おまえ、、前髪が、」
「あ!!!おまえ!」
「ぷ…ふふふ。変…!!!」
また、笑い合う日がこれるなんて
思ってもなかった。