episode6
「で?シャル、この女でいいの?」
「そうだけど?」
私そっちのけで男2人で会話する内容は、クラクラする頭にははいってこなかった。
「じゃ、逮捕するから」
「はっ?!なんの罪で!」
「飲酒と、これ、見覚えないとは言わせないから」
「知らない!そんな銃!」
「はいはい。さっさとパトカー乗って。」
あっけなく私は、捕まってしまった。
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「ん…」
___________記憶が。ない。
「どーも。お嬢さん。
二日酔いはしてないかい?」
「ええ。べつに」
ガチャ…
鉄格子の鍵が開けられる。私は捕まったことすら記憶にないのだ。
「ここ、座っとけ」
「手錠は…!」
「外すわけないだろ。待っとけって」
警官は資料を取りにどこかへ行ってしまった。
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「俺は、ジャンニーノ。君の取り調べを担当する。
記憶にないとは思うけど、君は逮捕された。
飲酒と銃刀法違反。分かる?」
「お酒を…飲んだのは、悪いと思ってる!」
「銃はどう説明するんだ?」
「分からないから、
私も、説明できないんでしょ!」
「故意に持ってないのは確からしいな。
保釈金だけ払ってもらえればいいから。
両親とか親戚とかいないわけ?」
「…いない」
「じゃ、楽しい監獄生活を」
「は?!!!!」
この国の警察は金は忘れず回収するたちらしい
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保釈金を払ってくれる人なんて居ないのを知っていながら、どこか少し期待していた。
_____誰かあの時みたいに、、
「おい。ジャン!!!
なんで逮捕者がいんだよ」
「まぁまぁ、分かったから」
「俺の金だぞ!?なんで他の、しかもこんなガキに支払わねーといけないんだよ」
鉄格子の遠く向こう側から怒鳴り声とそれをなだめる声が聞こえる。
「とりあえず、エルヴィス座ってって」
「早く、ガキ連れてこいよ」
______え?私?
「おーい。お嬢さん、人と会ってくれ」
鍵を開けられ手を引かれる。男と向かいあって座るが、男は鬼の形相で私を睨んでいた。
「おい。おまえな。これでいくら飛ぶか分かってるか?おまえを出すために300もかかってるんだよ!」
「そんなに怒るなら…いらないわよ」
「ああ?どの口がいってんだ!?
俺の護身用の銃まで盗みやがって。
しかも、
ボスの言いつけには俺も逆らえねーんだよ。
逆らえてたらおまえの脳天に鉛玉ぶち込んでる」
「…ボス?って、あの人?」
「ああ、あの人だよ!黙って聞け?
おまえは、俺たちの仲間だ。助けられるの知っといて仲間に迷惑はかけんじゃねー。
何もできないのに、迷惑ばっかかけられても困るんだ。分かるか?」
「…はい」
「とりあえず、おまえはここから出たら、このメモに書かれてる場所に行って人に会ってこい
それがボスからの伝言だ」
そう言って彼は現金の入ったカバンとタバコの吸い殻を置いて帰っていった。
「すごいだろー?あいつ。」
「あ。はい。かなり。 」
「でー、分かった?その指輪がどれだけの意味を持つか」
「はい…。でも、どうしてあなたは指輪をしていないのに、あの人に銃を返したり私の保釈金の手配をしてくれたり…」
「ほら、指輪は指につけるものだけど、仕事柄そんなことはできないからね」
彼は、ドッグタグと一緒に付いた指輪を私に見せた。
「おまえが思っている程、あいつらは悪いやつじゃないよ…あ。車が来たっぽい。
乗って。」
「なに、この高級車…。
ヴィヴィ…どうして…?」
「お嬢様、お久しぶりです。お迎えに上がりました」
死んだはずの彼がどうして私の目の前にいるのか私は見当もつかなかった。